さようなら、世界一のシンボル。藺牟田「世界一郷水車」の解体

鹿児島県薩摩川内市祁答院町藺牟田。かつてこの地には、その雄大な姿で多くの人々を魅了したシンボルがありました。
それが、令和7年10月に解体された「世界一郷水車」です。

長年にわたり、地域を象徴する存在であっただけに、その姿が完全に消えてしまったことに、寂しさや時代の流れを感じずにはいられません。

世界一を誇った巨大水車

この「世界一郷水車」は、かつては文字通り「世界一の大きさ」を誇った水車でした。直径は13メートルを超え、杉板で作られたその巨大な輪が、ゆっくりと、しかし力強く回る様子はまさに圧巻。
水車のてっぺんにあしらわれた竜の口から吐き出された水が、けたに落ちていくダイナミックな光景は、訪れる人々に強い印象を与えてきました。

水車が設置された竜仙峡は、藺牟田池の竜伝説と結びついた美しい山々と渓流が織りなすのどかな景勝地です。

壊れたままの静かな終焉

しかし、その世界一の称号も、時代とともに他所に譲ることとなり、近年は水車そのものも老朽化が進んで、壊れたまま修理されることも無く放置されていました。
かつての雄姿を知る者としては、巨大な水車が回るダイナミックな光景を、もう二度と見ることができないのは残念でなりません。

変わることのない藺牟田池の魅力

藺牟田池は標高約300mの山の上にあります。周囲を高い山々で囲まれ、池の畔にいると宇宙を感じざるを得ません。
池の麓にあった水車は無くなっても藺牟田池の魅力は変わりません。
短くなった秋に、藺牟田池で心地よい風に吹かれてみませんか。